店主のコラム
われ、ただこれ〈來者〉を畏れるのみ
2026.04.01
今日は3月3日。このゴラムがこうかいされるのはやや後のことですが、雛祭りは女の子の幸せを祈る日です。やんちゃな男の子でもあった店主は、今では「詩の界隈をそぞろに歩いて半世紀」の老躯となってしまった。
中学生の昔にある教科担当の先生が詩を書いていて、北海道の釧路市で『かばりあ』という同人詩誌を発行し、何を思ったのか、ちんぷんかんの詩の世界にわたしを誘ってくれた。が、頭の中にはたくさんの?マークが湧いて右往左往しただけ。それでも、はるか後年になって思い出したように、詩に再会した。1968年、天沢退二郎という詩人の詩集『時間錯誤』。
これを手にして驚天動地、知っていると思っていた日本語が崩壊してしまった。慌てふためいて、この詩人について書いた小文を載せるためにある詩誌を創刊した。これを通じて帷子耀、芝山幹郎、宮岡頌子、熊倉正雄らと出会い、また多くの現代詩人の詩に触れて胸のドキドキが加速した。『史乃命』の故岡田隆彦氏、後に『黄金詩篇』を出すことになる吉増剛造氏など瞠目すべき先達詩人とめぐり会えたのは僥倖というほかはない。おのれの非才をなげくなかれ、ひとを求めてその詩を祭れ。
そんなわけで、好きでたまらない詩人の後光発する本を作りたいがために「阿吽塾」をはじめた。と同時に、芭蕉がいう〈われ、ただこれ來者を畏れるのみ〉の〈來者〉、かつて誰も見たことがない奇想天外にして破天荒なことばの詩を書き出す詩人の出現をわたしは待ち続けてもいるのです。